大地からのお便り
2026/10/06 14:57
陶器焙煎器での火入れ
陶器の主な原料である粘土や長石などの鉱物(セラミックス)は、熱を加えることで効率よく遠赤外線を放射する特性を持っています。陶器焙煎では焙煎器を直火にあて遠赤外線を発生させ、器内の豆に照射しながら輻射熱(ふくしゃねつ)により豆の内部まで均一に熱を伝え焼いて行きます。
豆を芯からふっくらと香り高く焼き上げる「土」と「火」の力が私たちの焙煎の要なのです。
そしてその要に加えて必要なのが人の持つ「肝心(きもこころ)」です。
肝心とは、心、精神のこと。古来日本では肝、はらわたそのものに心が宿ると考えられていました。
土を讃える焙煎所の相棒は、「珈悦(こうえつ)」というまんまるな焙煎器です。
宇治市炭山にある暁陶房の笹谷氏の手により生み出されたこの焙煎器は、10年という歳月をかけて現在の形に昇華されました。伝統の技術と歴史が匠の手により表現された陶器焙煎器は、今を生きる道具であり美術工芸品でもあります。
人の肝心は「手」に表れ、手を通じて、その人の心はモノに、コトに、ヒトに伝達されてゆくように思います。陶器焙煎器に表れる伝統の「手の心」を私たちは受け取り、そこからまた、私たちの「手の心」によって焙煎で表して行く。どのような心、精神で自然と共にある人間なのか、その表現が私たちの焙煎です。
土、火、水といった自然はいつも、人の持つ肝心(精神)を束ねてくれる要の存在です。
要が壊れると全体が使えなくなります。要を無視して手の心を表すことはできません。
土と、火と、人の手と。
そのどれもが分離せずに共に表れることができているかを問いながら、私たちは今日も火入れをします。
汽笛~浅煎り~
焙煎時に出る蒸気を利用して短時間で焙煎器内の空気圧を大きく絞る手法。珈琲豆の持つ香りを引き出しながら、口当たりの良い酸味に仕上がります。
種火~低温焙煎の浅煎り~
低い温度で30分近くかけてじっくりと芯まで火を通す焙煎方法。むらなく水分を抜ききることで酸味、苦みがまろやかな、お茶のような飲み口に仕上がります。

焚火~中煎り~
焙煎器内の空気量を一定に保ちながら低温からじっくりと煎り上げる方法。まろやかな飲み口に加え、コクを引き出します。

熾火~深煎り~
焙煎器内の空気量を一定に保ちながら低温からじっくりと煎り上げ、最後に余熱で仕上げる方法。急激な焦げを避けることで、珈琲豆の持つ本来の苦みと豊かなコクを引き出します。

